研究会・研究発表の記録(2013年4月~2014年3月)
- [企画][メディアと情報/支援と復興/社会の再編]
- 日時:2014年1月27日
- 会場:京都大学稲盛財団記念館
- 概要:
2004年スマトラ沖地震津波(インド洋津波)の最大の被災地となったアチェでは、被災から10年目を迎えようとするなかで、死者・行方不明者16万5000人にのぼる被災とそこからの復興の経験を、どのように記録し、アチェ内外の人々の間で共有していくかという課題が取り組まれています。特に近年は、ドキュメンタリー映像の制作を通じて被災や復興のなかで移り変わる人々の暮らしを記録する試みが盛んになっています。
地域研究統合情報センターは、現地の関係機関と協力して、被害と救援・復興の経年変化の様子を地図上で示すオンライン・デジタルアーカイブ「アチェ津波モバイル博物館」や「アチェ津波デジタルアーカイブ」をはじめ、地域情報を活用した地域再生の取り組みを行ってきました。また、津波被災10周年記念ドキュメンタリー映像の制作にも協力しています。
今回のワークショップでは、映像を通じた復興の記録づくりに取り組んでいる若手の映像作家らを招き、被災から10年目を迎えようとしているアチェで映像制作にどのような期待が寄せられているか、また、そこでの課題について考えます。ゲストコメンテータには地域研究者を主人公にした映画「ほとりの朔子」を製作した深田晃司監督をお招きし、映像の持つ力の可能性についてお話を伺います。
- プログラム:
趣旨説明 山本博之(京都大学地域研究統合情報センター)
セッション1
上映「海辺の先の物語」(Hikayat dari Ujung Pesisir、21分、アチェ語・インドネシア語、英語字幕)
コメント 深田晃司(映画監督)
討論
セッション2
「10th Years Eartquake – Tsunami Aceh: A Reflection Towards a Sparkling Aceh」Nurjanah (Yayasan Kemaslahatan Ummat)
参考上映「アチェ津波モバイル博物館」(3分、インドネシア語・英語、英語字幕)
コメント 亀山恵理子(奈良県立大学)
討論
- [企画][支援と復興]
- 日時:2013年12月27日
- 会場:エルメス・ホテル(インドネシア)
- [企画][メディアと情報/支援と復興]
- 日時:2013年12月11日
- 会場:京都大学百周年時計台記念館
- 概要:New Paradigms on Humanities Computing -Linking Knowledge of Human Activities- PNC Annual Conference and Joint Meetings 2013のセッションの1つをシアクアラ大学の協力により京都・アチェ国際ワークショップとして実施しました。
- プログラム:
Moderator: Yoshimi NISHI (Kyoto University)
Keynotes for Disaster Management:
1. Building Community Capacity for Disaster Reduction in Taiwan (Liang-Chun CHEN, National Science and Technology Center for Disaster Reduction)
2. Full-text Database of All Historical Earthquake Documents in the Japanese Ancient and Medieval Ages (Katsuhiko ISHIBASHI, Kobe University)
Panel 1. Management of Disaster Data
1. Archive of recovery support survey: Great East Japan Earth quake and Tsunami Disaster Recovery Support Survey of Damaged Cities (Takuya HASHIMOTO, The University of Tokyo)
2. The East Japan Earthquake Archive: Visualization contents of the big data of the earthquake disaster (Hidenori WATANABE, Tokyo Metropolitan University)
3. Computational Ontology for Knowledge Representation in Disaster Management (Feng-Tyan LIN, National Cheng Kung University)
4. Ubiquitous Devices & Applications for Disaster Prepared Smart Homes and Environment (Jane W. S. LIU, Academia Sinica)
Panel 2. Memory of Disaster
1. Memory of Disaster : Linking Experiences to Learning (Jong-Tsun Huang, China Medical University)
2. Archiving the Memories through Individual Motion Pictures: Our Struggle at Center for Remembering March Eleven, Sendai Mediatheque since 2011 (Hisashi KITANO, Sendai Mediatheque, & Kenji KAI, Sendai Mediatheque)
3. The Aceh Tsunami Mobile Museum: Archiving Disaster Experience and Knowledge (Hiroyuki YAMAMOTO, Kyoto University)
Panel 3. Disaster Management
1. Knowledge on Disaster Risk Mitigation: Contribution of Tsunami and Disaster Mitigation Research Center (TDMRC) (Muhammad Dirhamsyah, Syiah Kuala University, & Nasaruddin, Syiah Kuala University, & Khairul Munadi, Syiah Kuala University)
2. Rebuilding Community Identity and Solidarity through Religious Activities in the Aftermath of Disaster: In Case of the Great East Japan Earthquake 2011 (Isao HAYASHI, National Museum of Ethnology)
- 主催:
Pacific Neighborhood Consortium (PNC)
Electronic Cultural Atlas Initiative (ECAI)
情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会(SIG CH)
京都大学地域研究統合情報センター(CIAS)
京都大学東南アジア研究所(CSEAS)
- 共催:
人間文化研究機構(NIHU)
- 協賛:
Asian Network for GIS-based Historical Studies (ANGIS)
- [企画][メディアと情報/支援と復興/社会の再編]
- 日時:2013年12月4日
- 会場:京都大学稲盛財団記念館
- 概要:
2013年11月8日から9日、フィリピン中部を台風30号(フィリピン名ヨランダ)が襲いました。この台風による死者は4000人を越え、倒壊家屋は約65万棟、被災者は約1000万人に上ると伝えられています。
被害は広範囲におよび、その全体像がなかなか掴めない中で、貧困や物資の略奪といった側面に関心が集中してフィリピン社会に対するネガティブな見方が不当に強められているという声が聞かれる一方、この災害対応のあり方にフィリピン社会が抱える課題が集約されているという声も聞かれます。
地域研究を志す学徒として、あるいは隣人として、被災地域の人びとに何らかの救援をと思わざるをえません。ただし、被災直後の現場に身を置くことによってではなく、緊急対応から復興再建への移行を念頭に置いて、専門性を活かした関わり方として、研究集会を開催することにしました。研究会では、防災・人道支援の専門家による被災と救援の現場からの報告、支援や関心によって被災地の内と外をつなぐ試み、歴史や文化を踏まえた被災地や被災社会の捉え直しなどを通じて、今回の台風災害とそれへの対応に見られるフィリピン社会の特徴を明らかにし、地域社会に根ざした支援や復興の可能性を提案することを目指します。
- プログラム:
趣旨説明 山本博之(京都大学地域研究統合情報センター)
第1セッション
「フィリピン台風災害緊急人道支援活動報告」奥村真知子(ピースウィンズ・ジャパン フィリピン台風支援事業担当)
「フィリピン台風災害―災害と復興の視点」渡辺正幸(東京大学生産技術研究所目黒研究室研究員)
第2セッション
「フィリピンの台風被災を遠くから見る―備えるとは何か、届けるとは何か」青山和佳(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院)
「サマール島の政治社会状況―被災地支援の際に思うこと」細田尚美(香川大学インターナショナルオフィス)
「フィリピン台風災害への対応―在日フィリピン人コミュニティの視点から」石原バージ(フィリピン人移住者センター(FMC))
第3セッション
「レイテ島の歴史から見た政治風土」荒哲(福島大学非常勤講師)
「災害復興に向けてフィリピン社会を振り返る」宮脇聡史(大阪大学)
コメント
寺田勇文(上智大学アジア文化研究所)
清水展(京都大学東南アジア研究所)
総合討論
- 主催:東南アジア学会/地域研究コンソーシアム/京都大学地域研究統合情報センター
- 共催:
京都大学東南アジア研究所
科研費・基盤(A)「災害対応の地域研究の創出-「防災スマトラ・モデル」の構築とその実践的活用」(代表:山本博之)
科研費・基盤(B)「自然災害からの創造的な復興の支援を目指す統合的な民族誌的研究」(代表:清水展)
京都大学地域研究統合情報センター共同研究「「小さな災害」アプローチによる紛争・災害に強い社会づくり」(代表:西芳実)
- [企画][メディアと情報/支援と復興/記憶と忘却]
- 日時:2013年9月18日
- 会場:京都大学稲盛財団記念館
- 概要:
京都大学地域研究統合情報センター(CIAS)では、学術交流協定を結んでいるインドネシア共和国アチェ州のシアクアラ大学津波防災研究センター(TDMRC)から3名の研究員を迎えて、第5回京都=アチェ「災害と社会」国際ワークショップを開催します。
2004年スマトラ沖地震津波(インド洋津波)の最大の被災地となったアチェでは、死者・行方不明者16万5000人にのぼる被災とそこからの復興の経験を、どのように記録し、アチェ内外の人々の間で共有していくかという課題が取り組まれています。地域研究統合情報センターは、現地の関係機関と協力して、被害と救援・復興の経年変化の様子を地図上で示すオンライン・デジタル・アーカイブ「アチェ津波モバイル博物館」をはじめ、地域情報を活用した地域再生の取り組みを行ってきました。また、学術交流協定にもとづき、これまでに京都とアチェで合計4回にわたり「災害と社会」国際ワークショップを行ってきました。
第一セッションでは、被災から9年目を迎えて物理的な復興が進み、「災害からの復興」が社会全体の共通の課題でなくなりつつあるという危機感のなかで、アチェ社会で記憶と記録という観点から災害後社会の中長期的な復興に取り組む活動を紹介します。
アチェでは、未曽有の被災と復興の経験を人類史に記録すべき経験と捉え、次世代や世界の他地域の人々と共有するために様々な取り組みがなされてきました。2006年には国立シアクアラ大学に津波防災研究センターが設立され、インドネシア全国における災害対応研究の拠点となっています。2011年にはシアクアラ大学に大学院防災学研究専攻科が設立され、行政やNGOなど災害対応に深くかかわる関係諸機関の社会人学生を含む学生に防災の専門教育を行っています。
また、アチェでは復興の初期段階から州をあげて「津波ツーリズム」の振興に取り組んできました。2009年にはアチェ津波博物館が完成し、被災と復興の経験をインドネシア内外で共有するための博物館づくりが進められています。
アチェでは日本の阪神淡路大震災の経験がしばしば参照されてきました。被災から19年目を迎えようとしている阪神淡路大震災後の神戸では、被災後に生まれ育った世代が社会の担い手に成長しつつあります。第一セッションの後半では、世代を越えて記憶が継承される条件について、阪神淡路大震災後の神戸における実践例から検討します。
第二セッションでは、コミュニティの記憶や記録を共有する場としてのミュージアムの役割に注目しながら、グローバル化や情報化が進展する現代世界において記録・記憶を共有するうえでの課題について考えます。防災教育にとどまらず歴史教育やツーリズムといった多分野への活用をめざすドキュメンタリー映画制作の取り組みや、世代を繋ぐポピュラー文化の持つ機能に注目した取り組みを紹介します。
総合討論では、記録や記憶の共有を通じたコミュニティづくりが直面している課題について検討し、世代、地域、時代を越えてコミュニティを結び育てる場としてのミュージアムの役割と可能性について考えます。
- プログラム:
開会挨拶 林行夫(京都大学地域研究統合情報センター)
趣旨説明 「地域研究と地域情報学を活用した災害に強い社会づくり――アチェ津波モバイル博物館がめざすもの」西芳実(京都大学地域研究統合情報センター)
第一セッション 地震・津波被災地における記憶と記録――アチェと神戸の取り組みから
報告1「津波被災10周年を迎えるアチェの課題と挑戦――科学にもとづく津波スマイル構想」マフルザ・ムルダニ (シアクアラ大学津波防災研究センター研究員)、アリフ・ラフマン
報告2「の中の記憶――記憶のネットワークにむけての試論」寺田匡宏(総合地球環境学研究所)
第二セッション コミュニティを結び育てる場としてのミュージアム
報告1「ドキュメンタリー映画を通じた防災教育――アチェ津波博物館の新たな試み」アリフ・ラフマン(シアクアラ大学津波防災研究センター研究員)
報告2「ミュージアムに託されたマンガと記憶」谷川竜一(京都大学地域研究統合情報センター)
総合討論
- 主催:京都大学地域研究統合情報センター/シアクアラ大学津波防災研究センター(TDMRC)
- 共催:
科研費(基盤A)「災害対応の地域研究の創出―『防災スマトラ・モデル』の構築とその実践的活用」(代表:山本博之)
京都大学地域研究統合情報センター共同研究「小さな災害」アプローチによる紛争・災害に強い社会づくり」(代表:西芳実)
京都大学地域研究統合情報センター共同研究「建築を通したポピュラー文化の記憶の場の構築力の解明」(代表:山中千恵)
京都大学地域研究統合情報センター共同研究「災厄からの再生のための記録と記憶の〈場〉」(代表:寺田匡宏)
- [企画][メディアと情報/支援と復興/記憶と忘却]
- 日時:2013年8月27~28日
- 会場:シアクアラ大学(インドネシア)
- 主催:シアクアラ大学津波防災研究センター/京都大学地域研究統合情報センター
- プログラム:
Welcome Speech: Bappeda of Aceh Province
Keynote Speech: Head of Aceh Disaster Management Agency (BPBA)
Session 1
Dr. Hiroyuki YAMAMOTO, CIAS Kyoto University
Rahmadhani, Head of Department, Department of Culture and Tourism of Aceh Province
Session 2
Dr. Yoshimi NISHI, CIAS, Kyoto University
Dr. Saiful Mahdi, ICAIOS, Banda Aceh
Dr. Muhammad Dirhamsyah, TDMRC, Syiah Kuala University
Lilik Kurniawan, Director of Disaster Risk Reductio Divison, Disaster Management National Agency (BNPB)