研究会の記録(「研究者の広がり」班)
- 「外交実務と地域研究の連携の可能性 ~発展的な協働関係を求めて~」
- 日時:2009年11月27日(金)午後4時~6時
- 会場:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム2
- 共催:日本マレーシア研究会(JAMS)(社会連携ウィング)、京都大学地域研究統合情報センター(共同利用研究「公共領域としての地域研究の可能性:東南アジア海域世界における福祉の展開を事例として」)、地域研究コンソーシアム(地域研究方法論研究会)、日本マレー世界研究会(JA'AM)
内容
趣旨説明
発表1 篠崎香織(北九州市立大学)
発表2 川端隆史(外務省)
コメント 山本博之(京都大学)
討論
趣旨
外交実務という分野は、他の職業と比較して学術研究に関係する場面が多い。具体的な事例としては、有識者会議、局や課の研究会、外務省員と大学教員の人事交流、大学院レベルの研究者が求められる専門調査員などがあり、非公式な人的ネットワークも一部に形成されている。特に地域研究は、外務省の地域局や41ヵ国語の地域専門家との親和性がある部分が少なくない。しかし、さらに発展的な協働関係を形成する余地も残されている。
例えば、地域研究者と外交実務者がそれぞれ有する情報や現場感覚を共有することができるだろう。そのためには、両方の業種において「暗黙知/経験知」として明示的に示されない文章や語りの作法を理解する必要がある。学術研究者による専門的・先進的な論文には読み方があり、また、外交実務者による語りを解釈するためには知識が必要である。それぞれの業種における「暗黙知/経験知」を理解すれば、外交実務者と学術研究者の連携はこれまで以上に円滑かつ有益に行うことができるだろう。そのためには、地域研究に関わった経験のある外交実務者や外交実務に関わった経験のある地域研究者が、それぞれの違いを踏まえて「翻訳」することで互いの理解を深める助けになるだろう。また、両方の業種を経験していなくとも、「暗黙知/経験知」を意識した形で意見を交換することで、更なる知識や経験の共有化を図ることもできよう。こうした過程を通じて、外交実務と学術研究の双方において、次なる発展のための手がかりを得るなどの相互作用が期待できる。
今回のフォーラムでは、学術研究者から大使館の専門調査員として外交実務に携わった篠崎香織氏(北九州市立大学)と、職業外交官の立場から地域研究に関わってきた川端隆史氏(外務省)から、それぞれの経験を踏まえた話題提供を行う。そして、在外公館で委嘱調査員として外交実務に関わった山本博之氏(京都大学)をコメンテーターとして迎え、フロアからの意見も交えて、外交実務と地域研究の連携の方策について議論を深めたい。
報告要旨