「研究者の広がり」班

統括班からの期待

  • 従来、「研究者」と言えば、大学や大学院で研究の方法を学び、論文を執筆することで研究者として一人前になったと認められ、教育・研究機関に勤務して職業として研究を行う人を指すのが一般的でした。しかし近年では、官公庁、民間企業、非政府組織(NGO)、地域社会・家庭などの社会のさまざまな分野で経験を積み、その知見を活かそうと研究の道を志す人が増えています。また、大学や大学院で研究の方法を身につけ、研究者のマインドを持ちながらも、狭い意味での研究職に留まらずに社会のさまざまな分野で活動する人も増えています。
  • 実社会でさまざまな経験を積んだ人たちは貴重な存在ですが、いくら経験豊富だといっても、既存の学問分野の方法論を一から身につけるのには時間と手間がかかります。研究対象へのアプローチが多様で柔軟な地域研究は、このような経験豊富な人びとに「即戦力」として活躍してもらうのに適した学問分野です。
  • ただし、いくら地域研究が多様で柔軟だと言っても、実社会で積み重ねられた豊かな経験や知見をそのまま発表するのではなく、他の人びとと共有できるような形に整えてもらう必要があります。この点では地域研究の多様さや柔軟さが裏目に出て、どのような形に整えればいいかは自分で考え出してもらわなければなりません。
  • これに関しては、試験や論文執筆によって修了を認定する大学・大学院よりも、入退会が自由である学会や研究会が担う役割が大きいかもしれません。「研究者の広がり」班では、全てのメンバーが狭義の教育・研究機関以外で研究活動を行った経験を持ち、東南アジア海域世界の「福祉」の展開を事例とした共同研究を行いながら、身をもって「研究者の広がり」を積極的に取り入れた研究のあり方を検討します。

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