「地域の暗黙知」班
統括班からの期待
- 外から見たとき、地域研究者はオーラを纏っているかのように言われることがあります。そのオーラの源泉は、しばしば地域の「暗黙知」と呼ばれます。
- 地域研究者が身につけていると言われる地域の「暗黙知」とは何なのか。「地域の暗黙知」班では、同じ地域を対象とする複数の研究者による研究内容を比較することで、「暗黙知」なるものを析出することを試みます。
- その上で、「「暗黙知」なるものはどの程度の力を持っているものなのか」「人はなぜ「暗黙知」に一目置こうとするのか」などの地域研究が持つ地域の「暗黙知」をめぐる言説についても検討します。
- これらの作業を通じて、地域研究者が備えているとされる地域の「暗黙知」を明るみに出し、(それが必要ならば)どのように手に入れることができるかを考えます。
- また、これらの作業を通じて、地域研究と既存の他の学問的ディシプリンの境界が浮き彫りになることも期待されます。あわせて、「地域研究は第三世界研究」とする考え方を批判的に検討して、既存の学問的ディシプリンのもとで研究蓄積が豊富な社会における地域研究の可能性が積極的に検討されることも期待されます。
プロジェクト名:
地域研究の再帰的分析
(京都大学地域研究統合情報センター全国共同利用研究プロジェクト、代表者:小森宏美、期間:2009年4月~2010年3月)
研究目的:
地域研究という学問領域があるとして、その実践の仕方の多くは、他のディシプリンの手法を利用ないし援用するものであり、「地域研究」であるとする根拠は、研究者がどれだけ現地の事情等に通じているか、研究内容にそうした現時事情等がいかに反映されているかに担保されているように思われる。
本研究プロジェクトは、研究手法のうちどの部分が地域研究として括れるのかを、個別の研究事例を通じて個別具体的に明らかにした上でそれを分析し、その作業を通じて学問領域としての地域研究の展開に寄与することを目的とする。
ここで改めて指摘するまでもなく、地域研究の射程は対象地域と方法論の両面で広い。したがって、地域研究とは何かという問いに対し、①学際的な共同研究の「アリーナ」、②当該地域に関する総合的・包括的な知見に基づいた研究活動、という最大公約数の答えを返すことができるが、この2つを挙げただけでは学問分野としての地域研究の中身について述べたことにはならない。
本プロジェクトでは、とりわけ②に関し、研究成果に埋め込まれている知見を読み解き、他の学問分野との差異、あるいは地域研究としてのみ語りうる研究領域の抽出とその分析を試みる。
メンバー:
小森宏美(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)(研究代表者)
阿部健一(総合地球環境学研究所・研究推進戦略センター・教授)
仙石学(西南学院大学法学部・教授)
西芳実(東京大学大学院総合文化研究科・助教)
山本博之(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
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