研究会について
「ジャウィ文献と社会」研究会について
「ジャウィ文献と社会」研究会(JRS-J)は、主にマレー・インドネシア語のジャウィ文献を利用して、ジャウィ文献に関わる社会を対象に研究を行っています。これまで研究にあまり活用されてこなかったジャウィ文献を積極的に使うことで、ジャウィ文献が書かれ、読まれていた社会の様子を明らかにするとともに、マレーシアなどの東南アジア諸国における現地語・現地文字による教育・出版を研究活動を通じて支援することを目的としています。
ジャウィ(Jawi)とは、アラビア文字を改変したマレー・インドネシア語の表記法です。東南アジアのマレー・インドネシア語圏(現在の国名で言うと、おおよそマレーシア、インドネシア、シンガポール、ブルネイ、そしてタイの一部がカバーする範囲)では、長いあいだジャウィが書き言葉として使われていました。20世紀に入るとマレー・インドネシア語のローマ字による表記が広く使われるようになり、20世紀後半になると公文書や一般の文書ではマレー語が使われることが多くなりますが、その後もジャウィは一部で用いられ、今日に至っています。
この研究会は、月刊誌『カラム』(Qalam)の20年分の記事全文をジャウィからローマ字に翻字して内容を分析する「『カラム』の時代」プロジェクトと、マレー・インドネシア語の既修者を対象としたジャウィ文献講読のための講習会の2つを中心に活動しています。マレーシアの研究機関と共同で研究を行っており、研究成果はマレーシアの国立図書館や言語出版局を通じてマレーシアでも発表しています。