わすれな月2025 ヤスミン・アフマド監督追悼上映・ディスカッション

「わすれな月2025」は京都会場で開催します。『細い目』を上映して、石坂健治さんをゲストに招いてディスカッションを行います。
『細い目』から20年
ヤスミン・アフマド監督の劇場公開用の長編第一作である『細い目』がマレーシアと日本で公開されて今年で20年を迎えます。
『細い目』が20年の時を経てもなお多くの観客から愛され続けているのはなぜでしょうか。
ヤスミン作品は余白や沈黙を大切にします。答えを明示せず、観客が自分の記憶や経験に照らして解釈する余白を作っているため、観るたびに違う意味で心に刺さります。観客は物語を「消費」するのではなく、それを自分の中で思い返し、ふとしたときに立ち戻る「記憶」として心の中に抱くのです。
その記憶には、『細い目』の物語だけでなく、『細い目』を観たときや思い返したときのことを含めて、観客それぞれの物語も織り込まれています。
「わすれな月」は、ヤスミン監督が2009年7月25日に亡くなったことにちなんで、毎年7月末に、ヤスミン作品やヤスミン監督ゆかりの作品を観ながら、ふだんはそれぞれの心の中に留めているヤスミン作品やヤスミン監督についての記憶を共有する場です。
今年の「わすれな月」では、20年前に『細い目』が東京国際映画祭で日本初公開されたときに審査員として最優秀アジア映画賞を授賞した東京国際映画祭「アジアの未来」部門シニア・プログラマーの石坂健治さんをゲストに迎えて、『細い目』やヤスミン監督との出会いの記憶を語り合い、ヤスミン作品の記憶が人々の心に抱かれていることが今日の世界にどのような意味を持つのかについても考えます。
配信は行わず会場のみでの開催ですが、会場にお越しいただけない方も、それぞれの場所でヤスミン作品とヤスミン監督について思いを巡らせていただければと思います。
※参加費無料/事前登録不要
※上映作品はDVD画質による上映です。
日時
2025年7月27日(日)13:00~16:00(開場12:30)
会場
京都大学稲盛財団記念館 3階大会議室(京都市左京区吉田本町)
当日は建物の出入り口が施錠されています。12:30~13:00と15:00~15:15)に開錠するのでそれにあわせてお越しください。
プログラム
13:00 開会挨拶
13:10 『細い目』上映
15:00 休憩
15:15 ディスカッション(石坂健治・山本博之)
16:00 閉会
ゲスト
石坂健治
日本映画大学映画学部長/東京国際映画祭「 アジアの未来」部門シニア・プログラマー
作品紹介
細い目(Sepet)
ヤスミン・アフマド監督/マレーシア/2004年/107分/日本語字幕(多色字幕)
中等教育修了試験を終えて大学進学の結果発表を待っているマレー人少女のオーキッド。成績優秀でも進学できず、露店で海賊版CDを売る華人少年のジェイソン。民族と宗教が異なる2人が市場で出会い、恋に落ちる。男と女、雇い主と雇われた人などのさまざまな力関係を逆転させて「もう1つのマレーシア」を美しく描く。
(『細い目』は言語別に色が違う多色字幕で上映します。劇場公開版よりスクリーン上の文字が多いことをご承知おきください。)
主催
混成アジア映画研究会
共催
日本映像学会アジア映画研究会
協力
京都大学東南アジア地域研究研究所
問合せ
malaysianfilm@cseas.kyoto-u.ac.jp